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最高裁判所第三小法廷 昭和44年(オ)180号 判決 1969年5月27日

上告人

外山林之助

代理人

下田金助

被上告人

成田ヤエ

ほか二名

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人下田金助の上告理由一、二について。

原審の認定した事実関係のもとにおいては、被上告人らが本件農地を訴外江崎照代に売り渡し、江崎のため所有権移転請求権保全の仮登記を経由し、さらに江崎においてこれを訴外大久保米子に売り渡したからといつて、被上告人らが本件売買契約に基づいて上告人に対し負担する債務が履行不能に確定したものとはいえない旨の原審の判断は正当として是認できる。なお、所論のように、被上告人らが江崎との間になされた本件農地の売買契約を解除し、かつ、前示仮登記の抹消登記手続を経由した後でなければ、上告人のため農地法五条所定の許可を受けることが不可能であると解すべき根拠はない。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同三、四について。

記録によれば、上告人は、第一審の第八回口頭弁論期日に、「本件は被告らの履行不能による填補賠償を求めるものである」旨、その主張の趣旨を明らかにしているから、原判決の判断に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(田中二郎 下村三郎 松本正雄 飯村義美 関根小郷)

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